働く車の代表格である日産のクリッパーバンに、電気自動車モデルがあるのをご存知ですか?
軽商用EVバン「日産クリッパーEV」は2024年2月に発売されました。
商用車で電気自動車?と思われるかもしれませんが、意外にも電気自動車は商用車に向いている車なのです。
今回は、商用車にぴったりな理由を紹介しながら、ガソリン車のクリッパーバンと比較してその魅力を紹介します。
この記事を読んでわかること
- EVバンが商用車にぴったりな理由
- クリッパーバンとの相違点
- EV車購入の補助金制度と税金の優遇措置
目次
日産 クリッパーEVとは
クリッパーEVとは、日産が販売している軽規格の電動バンです。
2024年2月に三菱のミニキャブEVをベースにOEM車として登場した、商業車らしい広い荷室が自慢の車です。
重い荷物をスムースに運べるようパワフルなモーターを搭載しているにもかかわらず、静寂性に優れており、何より「環境に配慮した商用車」として注目を集め、発売以来多くの方に選ばれています。
日産クリッパーEVの基本情報
まずはクリッパーEVの基本情報を一覧にて確認してみましょう。
■クリッパーEV(電気自動車)/駆動方式RWD
グレード | 本体価格 | 車高 | 車重 | 一充電 走行距離 | 交流電力量 消費率 |
---|---|---|---|---|---|
ルートバン | 2,865,500円 | 1.915mm | 1100kg | 180km | 127 Wh/km |
2シーター | 2,912,800円 | 1.915mm | 1100kg | 180km | 127 Wh/km |
4シーター | 2,920,500円 | 1.915mm | 1130kg | 180km | 127 Wh/km |
クリッパーEVのグレード設定は?
クリッパーEVのグレードは、車両の用途と座席数で別れたシンプルな設定です。
■ルートバン
2シーターを商用メインに設計されたグレードです。
荷室が広く、座席数は2席のみ。
商用モデルとなるため、スライドドアガラスとリヤクォーターガラスを塞いだ仕様になります。
様々なサイズの荷物を積み込める設計となっているので、荷物をたくさん積む必要がある方におすすめです。
■2シーター
2名乗車モデルです。
乗用モデルとなるため、リヤクォーターガラスになります。
荷室を最大限に活用しながら、人を乗せることを考慮したい方におすすめです。
■4シーター
4名乗車モデルです。
2シーターと同じく乗用モデルとなるため、リヤクォーターガラスになります。
後部座席があるため、荷物も人も乗せることがあり、用途に合わせて使い分けて活用したい方におすすめです。
クリッパーEVの走行距離と電力消費率は?
EV車で気になるのは「走行距離」と「電力消費率」ではないでしょうか?
上記の基本情報に記載されている「一充電走行距離」と「交流電力量消費率」に注目し、交流電力量消費率が良いと評価されている日産「サクラ」の数値と比較してみましょう。
交流電力量消費率とは、電力を利用する電気自動車(EV)の燃費に関する数値です。
電気自動車が1km走るのに必要な電力の容量をWh(ワット時)で表しています。
エントリーグレード「サクラ X」を検索してみると車重は1070kgとなり、一充電走行距離は180km、交流電力量消費率は124 Wh/kmでした。
商用車は積載物を考慮した重量なので、その分走行抵抗が増して消費電力が増える傾向なのですが、クリッパーEVはサクラとの差がわずか3Wh/km。
実用上大きな違いはなく、軽商用EV車として電力量消費の高効率な車であると言えます。
また、軽自動車のコンパクトなボディに搭載できるバッテリー容量を考えれば「一充電走行距離180km」は一般的な数値になり、頻繁に充電できることを前提にすれば、十分な走行距離です。
クリッパーEVとクリッパーバンの燃料費比較
では、電気自動車のクリッパーEVとガソリン車のクリッパーバンとを、以下の条件のもと比較してみましょう。
※ガソリン車の「燃費」に対して、航続距離あたりの消費電力量「電費」で比較します。
電気自動車「クリッパーEV」が1kWh(1000Wh)の電力で走行できる距離はカタログ数値で約9㎞です。
以下の条件で必要な電気代を算出します。
■クリッパーEV
・自宅で普通充電
・1年間で10,000km走行
・都内電気代を3.49円(2024年10月時点での平均価格)
ガソリン車「クリッパーバン」についても同じ条件でガソリン代を算出します。
クリッパーバンのカタログ燃費は16.4 km/Lです。
■クリッパーバン
・1年間で10,000km走行
・都内ガソリン代を179.07円/L(2024年10月時点での平均価格)
クリッパーEV(2シーター) | クリッパーバン(2WD/CVT) | |
---|---|---|
電費/燃費 | 9Wh/kWh | 16.4 km/L |
電気代/ガソリン代 | 31円/kWh | 179.07円/L |
10,000㎞走行するために必要な費用 | 約34,441円 | 約109,261円 |
クリッパーEVの電気代とクリッパーバンのガソリン代を比較してみると、2倍以上の差でクリッパーEVの走行費用が抑えられる結果となりました。
政府からの電気料金補助も縮小され、2024年10月分以降は電気料金が値上がる見通しですが、ガソリン代も原油価格や為替レートの転換が見込めないため、しばらくは同じような価格を維持する可能性を考慮すると、走行費用の差はこのまま続くことが予想されます。
クリッパーEVが商用車にぴったりと言われる理由
ここでクリッパーEVが商用車にぴったりと言われる理由をご紹介します。
最大積載容量350kgの広い荷室
前項でもご紹介しましたが、クリッパーEVも商業車らしい広い荷室を確保しています。
最大積載容量350kgの積載力は、ビールケース36ケース、パンケース72ケース、段ボール14個、さらにコンパネを平積みできる程です。
充分な航続距離
一充電走行距離は180kmです。(国土交通省審査値)
軽自動車のコンパクトなボディに搭載できるバッテリー容量と、頻繁に充電できることを前提にすれば、十分な走行距離と言えます。
搭載しているリチウムイオンバッテリーは、バッテリー容量低下の抑制や耐久性の向上などにより高寿命化を実現しており、バッテリー容量の保証を8年160,000kmとしています。
パワフルなのに静かな走行
EVならではのモーター駆動は、力強い走りで重い荷物も軽快に運びながら、走行時の静寂性を実現しています。
走行中や停車中の音も静かなので、早朝や深夜にお使いの方でも安心して乗車できます。
バッテリーを床下中央部に搭載することで低重心になり、コーナリング中のロール(傾き)や、高速走行のふらつきが抑えられ、安定性、操縦性、乗り心地も向上しました。
乗り心地には個人の体感差があるため、気になる方は試乗されることをおすすめします。
店舗や出先で手軽に充電
ガソリンスタンドに給油に寄る必要もなく、店舗や出先で手軽に充電が可能です。
店舗では普通充電、出先では急速充電などシーンに合わせて充電方法も使い分け可能です。また、電気代を抑える手段として、夜間充電するのも一つの方法です。
先進安全装備と安全装備
クリッパーEVは、商用車でありながら先進の安全技術を搭載しており、ドライバーの負担軽減や衝突回避を支援など、より安全な運転をサポートします。
日産クリッパーEVは全車、ペダル踏み間違い時加速抑制装置/車線逸脱警報/先進ライト(自動切替型前照灯など)の採用により、「サポカーS ワイド」に該当しています。
■安全性能
・ヒルスタートアシスト
・パーキングセンサー〈リヤ〉
・アクティブスタビリティコントロール[ASC]
■先進安全装備
・インテリジェント エマージェンシーブレーキ
・踏み間違い衝突防止アシスト(前進のみ)
・LDW(車線逸脱警報)
・ハイビームアシスト
軽商用EVバンと補助金制度
商用車としておすすめしたい理由の一つに購入時の補助金制度の利用があります。
現在は国の補助金制度として「CEV補助金」が設けられています。温室効果ガスの排出量ゼロに向けて環境性能に優れた車の普及を目的とし、購入費用の一部を補助する制度です。
クリッパーEVはこれに該当し、国からの補助金「CEV補助金」として55万円の補助が受けられます。
さらに、「国の補助金(CEV補助金)」の他に、「方自治体の補助金」を併用も一般的に可能なため、商用車としてEVを検討されている方には魅力的な制度です。
※自治体の補助条件はそれぞれ異なりますので、詳しい情報は次世代自動車振興センターの「地方自治体支援制度」よりご確認ください。
意外と知らない電気自動車の優遇措置と車検費用
電気自動車の購入時に「補助金」が利用できることをご紹介しましたが、購入後の維持費などはどうなっているのでしょうか?
前項で、ガソリン車のクリッパーバンと、電気自動車のクリッパーEVを比較し、燃料費はガソリン代の半分以下と紹介しましたが、その他の維持費について紹介します。
税金の優遇措置
EV車は排出ガスがゼロであることや、環境負荷が低いことを考慮し、税制面で様々な優遇措置(EV特典)が設けられています。
エコカー減税 | 自動車重量税の減税措置です。 電気自動車(EV)は、新規登録時(取得時)と初回の継続車検時の自動車重量税が100%免税となります。 |
グリーン特化例 | 自動車税の軽減措置です。 電気自動車(EV)を、新車新規登録を行った場合、翌年度分の自動車税・軽自動車税が約75%軽減されます。 |
環境性能割 | 環境性能割は、自動車の燃費性能や排出ガス量に応じて課される税金となるため、排出ガスがゼロであり、燃費性能も無限大とみなされるため、電気自動車(EV)おける環境性能割は非課税となります。 |
電気自動車の車検・メンテナンス費用
エンジンを持たない電気自動車は、エンジンオイルやタイミングベルトの交換など、エンジン車で行うような定期的なメンテナンスは不要になります。
さらに構造がシンプルで、交換が必要な部品も少なく交換費用が抑えられます。
また、前項で紹介したように重量税の免税があるため、電気自動車(EV)の車検費用はガソリン車と比較して、安くなる傾向です。
ただし、走行距離や使用状況によって、消耗部品の交換が必要になる場合があり、費用が変動する可能性があります。
また、電動モーターが壊れてしまうと交換が必要となることもあり、この場合は高額な出費となる場合があるので注意が必要です。
OEM車が存在する理由
最後にOEMについて解説します。
OEMとは、Original Equipment Manufacturerの略で、委託を受けた他社ブランドの製品を製造することをいいます。
簡単に言うと、A社で開発・製造した車をB社が仕入れて、B社のエンブレムをつけて販売しているということです。
そんなことしてA社もB社もメリットはあるの?と思うかもしれませんが、A社にもB車にもそれぞれメリットがあるのです。
販売するA社(供給する側)としては、OEM車として販売すれば生産台数が増えることにより、生産性の向上やコストの削減に繋がります。
一方、仕入れるB社(販売する側)としては、開発コストをかけずに、販売車種を増やせるメリットがあるのです。
このOEMの仕組みは軽自動車に多く見られ、今回のクリッパーEVでいえば、A社に該当するのが「三菱ミニキャブEV」となり、B社に該当するのが「日産 クリッパーEV」となります。
新型クリッパーEVのまとめ
今回は、2024年2月に発売された「クリッパーEV」について紹介しました。
クリッパーEVは、EV車の先駆者である日産から、クリッパーシリーズとして働く車に特化した機能と荷物を多く積むことができる積載スペースを保持したEV車です。
重い荷物をスムースに運べるようパワフルなモーターを搭載しているにもかかわらず、静寂性に優れており、何より「環境に配慮した商用車」として注目を集め、発売以来多くの方に選ばれています。
今後も燃料費の価格高騰はしばらく続く可能性があり、仕事で車を使う方には悩ましい問題です。
国や多くの自治体で、電気自動車などの普及促進に取り組んでいる今だからこそ、商用車の選択肢として電気自動車の購入を検討してはいかがでしょうか?
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