クルマで公道を走るには、必ず車検を受けなければなりません。
しかし、いざ車検満了日に近づくと「次の車検はいつから受けられるのか?」「車検に必要な書類はなにか?」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか?
最近では、カメラで走行車両のナンバーを読み取り、車検が切れていないかチェックするなど、車検切れ車両の摘発も厳しくなっています。
今回は車検を受ける時期や車検にかかる日数、車検に必要な書類や費用、注意点を解説して、最後に車検期限が切れたときの対処方法をご紹介します。
この記事を読んで分かること
- 車検の依頼先とかかる日数
- 車検費用とその内訳
- 検時に必要な持ち物と事前に用意しておきたい持ち物
- 車検が切れてしまったときの対処法
車検とは?
車検とは、正式には「自動車検査登録制度」と言い、クルマが保安基準を満たしているか否かを検査する法律で定められた制度です。
クルマを運転するには、車検を受けたことを証明する「自動車検査証(車検証)」の携帯が義務付けられており、車検切れのクルマは公道を走行できません。
車検切れの状態すべてが罰則の対象ではありません。
車検切れの状態で「公道」を走行した場合、無車検運行(法律違反)になってしまい、重い処罰が科せられます。
無車検運行の罰則については、後述します。
車検の有効期限の確認方法
車検切れをおこさないためには、有効期限をしっかり把握しておくことが大切です。
車検の有効期間を確認する方法をご紹介します。
自動車検査標章(ステッカー)で確認
検査標章とは、車のフロントガラスの上部に貼ってあるシールのことです。
車検合格後に交付され、クルマの外側から見える表面には「車検の満了年月」、車内から見える裏面には「有効期間が満了する年月日」が記載されています。
出典:軽自動車検査協会
自動車検査証(車検証)で確認
車検証は車検に通った後に交付される書類です。
クルマが保安基準に適合していることや、所有者を公証する公文書で、公道を走行する際は、車内に携行する義務があります。
車検証の左下に「有効期間が満了する日」が記載されています。
多くの方は、グローブボックスやシート下の収納場所に保管しています。
出典:軽自動車検査協会
車検を受ける適切な時期とは?
車検の有効期間は、初回検査と2回目以降の検査(継続検査)期間が設けられており、クルマの区分や用途によって異なるため注意が必要です。
■車種別車検の有効期間と頻度一覧
車種 | 初回検査の有効期間 | 継続検査の有効期間 |
---|---|---|
自家用乗用車 | 3年 | 2年 |
自家用軽自動車 | 3年 | 2年 |
バス・タクシー | 1年 | 1年 |
レンタカー(乗用車) | 2年 | 1年 |
軽貨物自動車 | 2年 | 2年 |
車検は「有効期間の満了する日」以内であればいつでも受けることができます。
しかし、満了日から1ヶ月以上早めて車検を受けると、次の車検の満了日もそのまま前倒しになってしまうため、満了日から1ヶ月前以内(満了日の月が変更されないギリギリの期間)で受けるのが一般的です。
例えば、車検の契約満了日が4月1日で、2ヶ月前倒しで車検を実施した場合、次回車検の有効期限もそのまま2ヶ月前倒しで終了してしまいます。
満了日 | 車検実施日 | 次回車検の有効期限 |
---|---|---|
4月1日 | 2月1日 | 2年後の2月1日 |
4月1日 | 3月1日~4月1日 | 2年後の4月1日 |
車検の依頼先とかかる日数
車検は、大きく分けて3つの依頼先があります。
依頼先や店によってかかる日数が変わりますので、気になるお店を見つけたら、早めのご予約がおすすめです。
ディーラー
最も時間がかかると言われているのがディーラーの車検です。
整備内容や部品交換も念入りに行う傾向があるため、時間や費用がかかることが多く、約2~3日かかるのが一般的です。
また、整備スタッフのスケジュールや備品の手配などで、予定していたよりも日数がプラスされる可能性があるので、余裕をもって預けたほうが良いでしょう。
整備工場
同じ整備工場でも「認証」か「指定」でかかる日数が異なりますが、1泊2日から4日程度がかかります。
指定工場は、車検に必要な設備や検査員など基準を満たしているため、自社で車検を行うことができますが、認証工場は「整備」のみとなり「検査」を自社では行えません。
認証工場では、「車検が通る状態」まで自社整備を行い、陸運局の車検場で検査を受けるため、どうしても指定工場よりプラス1日程度かかります。
工場の規模や整備士人数によって順番待ちが発生することもありますが、ディーラーよりも柔軟に対応してくれること多いです。
クルマ専門のフランチャイズ工場
クルマ専門のフランチャイズの整備工場は、整備士が多く車検に特化しているため、数時間 ~ 1日程度で車検を完了できるのが魅力です。
最近では、カー用品店でも1日で車検を完了できる店もあります。
忙しい方や、少しでも早く車に乗る必要がある方は、車検専門のフランチャイズの整備工場やカー用品店がおすすめです。
車検にかかる費用は?
車検の必要性や、車検の依頼先が分かったら、次に気になるのは費用だと思います。
車検費用は、大きく分けて2種類に分けることができます。
法定費用
自動車の種類やエンジンの大きさなどによって一律で決まっており、費用を抑えることができない項目です。
自賠責保険
自賠責保険は、車の所有者が必ず加入しなければならない保険です。
■自賠責保険料(本土用)
保険期間 | 24ヶ月 | 12ヶ月 |
---|---|---|
自家用乗用車 | 17,650 | 11,500 |
軽自動車 | 17,540 | 11,440 |
※沖縄県や離島などの一部地域では、保険料が異なります。
出典:損保ジャパン_自賠責保険 保険料例
加入後に交付される「自賠責保険証明書」は、運転時の携帯が義務付けられています。
自賠責保険に加入せず車を運転してしまうと「無保険車運行」になり、刑事罰の対象になってしまうので要注意です。
無保険車運行の罰則については、後述します。
自動車重量税
自動車重量税は、「自動車の重量」に応じて税額が決まる国税のことです。
以下の車両条件によって金額が異なります。
- ・車種
- ・車両重量(普通自動車の場合は重量によっても金額が変わります)
- ・年数
- ・エコカー減税適用の有無
自身の自動車重量税が気になる方は、国土交通省の「フローチャート・税額表」でご確認ください
印紙代
印紙代とは、車検に必要な各種手続きで発生する手数料のことです。
車検場所や車種によって金額が異なります。
■自動車検査手続きに関する手数料一覧(継続検査)
申請種別 | 車種別 | 軽自動車協会 | 自動車機構 | 合計額 |
---|---|---|---|---|
持込検査 (ユーザー車検) | 普通自動車 | 500 | 1,800 | 2,300 |
小型自動車 | 500 | 1,700 | 2,200 | |
軽自動車 | 1,800 | 400 | 2,200 | |
保安基準適合証の提出 (指定整備工場) | 普通自動車 | 1,400 | 400 | 1,800 |
小型自動車 | 1,400 | 400 | 1,800 | |
軽自動車 | 1,400 | 400 | 1,800 |
※指定整備工場の場合、指定工場で車検を受けた自動車に発行される証明書を運輸支局に提出すると、車両を持ち込まず書面のみで審査となるため「保安基準適合証の提出」が手数料となります。
出典:国交省_自動車検査手続きによる手数料一覧
車検基本料金・その他諸費用
費用を抑えることができない法定費用に対して、費用を検討できるのが車検基本料とその他諸費用です。
- ・車検基本料(検査手数料・整備料)
- ・その他(引取手数料、納車手数料、代車費用など)
車検実施業者によって費用が大きく変わってきますので、整備方法や内容を事前に確認し、数社で比較することをおすすめします。
車検を受ける際に必要な書類とは?
依頼先を決めたら、事前にしっかり準備をしましょう。
自動車検査証(車検証)
車検証とは、クルマの所有者の住所や氏名、車台番号、車検の有効期限などが記載されている書類で、公道を走行する際は、車内に携行する義務があります。
多くの方は、グローブボックスやシート下の収納場所に保管しています。
自動車税(種別割)納税証明書
自動車税(種別割)納税証明書とは、自動車税納付書の半券のことです。
納付書で支払ったあとに返却される半券のうち「継続検査用」と書かれたものが納税証明書として用いられます。
自動車損害賠償保険証明書(自賠責)
自動車損害賠償保険は、搭乗者にかけられる自動車任意保険ではなく、車にかけられる強制保険です。
自賠責保険証明書も、車検証と同じく車内に携行する義務があるため、多くは車検証と一緒に車検証入れに収められ保管しています。
印鑑
手続きに認印が求められる場合があります。
実印である必要はありませんが、ゴム印やシャチハタは認められません。
スムーズな手続きのため、用意しておきましょう。
車検費用
車検費用は、原則としてその場での支払いとなります。
車検費用は、法定費用+車検基本料+整備費用+部品代+代車代などの車検費用総額となりますが、想定外の追加費用が発生した場合に備え、金額は多めに用意すると安心です。
また、クレジットカードで支払う場合でも、法定費用だけは現金払いの場合がありますので、事前にクレジットカードで支払える費用の範囲を確認しておくと良いでしょう。
その他
必ず必要なものではありませんが、車種や依頼先によって必要になる場合もあります。
手間を省くため、事前に確認しておくことをおすすめします。
任意保険の保険証券
代車で事故が発生したときに備えて、保険証の提示を求められることがあります。
ロックナットアダプター
ホイールの固定に盗難防止用ロックナットを使用している場合は、必ず車と一緒に専用のロックナットアダプターも預けます。
発炎筒
車には発炎筒の常備が義務づけられており、発炎筒がなければ車検には通りません。
また、発炎筒には有効期限も定められています。
車内に搭載されていない場合や有効期限切れの場合に、有償で補充および交換をしてくれますが、量販店など安価で購入できるため、自身で用意しておくと良いでしょう。
車検期限が切れてしまったら?
車検満了日をうっかり過ぎてしまっても、慌てる必要はありません。
手続きをすれば、有効期限内と同じように車検を受けることができます。
ここでは、車検が切れてしまった場合はどう対処すれば良いのか解説します。
車検切れだと運転できない
車検が切れた状態で運転してしまうと「無車検運行(車検切れの状態で運行)」「無保険運行(自賠責保険切れで運行)」の2重の道路運送車両法違反になってしまい、以下のように処罰の対象となります。
【無車検運行】
違反点数 | 6点以上 |
---|---|
罰則・罰金 | 6ヶ月以下の懲役、または30万円以下の罰金 |
行政処分 | 免許停止 |
出典:道路交通法施行令
【無保険運行】
違反点数 | 6点以上 |
---|---|
罰則・罰金 | 1年以下の懲役、または50万円以下の罰金 |
行政処分 | 免許停止 |
出典:道路交通法施行令
車検切れの対処法
車検切れが罰則の対象ではなく、車検切れの状態で「公道」を走行したことが無車検運行(法律違反)になってしまうのです。
つまり公道を走らず、車検を依頼するお店まで車を運ぶ手段が必要になります。
仮ナンバーを取得する
公道を走れない車検切れのクルマをお店まで運ぶ対処法として、仮ナンバーを発行するのが一般的です。
仮ナンバーとは、管轄の自治体から臨時に貸し出されるナンバープレートのことです。
申請は各市区町村役場で受け付けており、お店までの経路や使用目的、使用期間が定められた運行許可を一時的に付与されます。
あくまで、臨時に貸し出されるナンバープレートとなるため、期限後5日間以内に返納しなければならず、違反の場合は6カ月以下の懲役、または30万円以下の罰金が科されます。
【仮ナンバー申請に必要なもの】
- ・運転免許証
- ・車検証
- ・自賠責保険証の原本
- ・印鑑
- ・申請手数料(750円程度)
陸送サービスに依頼する
仮ナンバーの取得が難しい場合は、陸送サービスを利用し移送する方法があります。
レッカー車で牽引すると自走扱いになるので、積載車であることを確認しましょう。
陸送会社や移動距離により費用が変わるため、費用を比較検討することをおすすめします。
まとめ
今回は、車検について、受ける時期やかかる日数、必要な書類や費用、注意点をなどご紹介しました。
車検切れに罰則はないものの、車検切れの状態で「公道」を走行することで、道路運送車両法違反の罰則を科せられてしまいます。
また、車検切れで事故を起こした場合「車検を受けていれば防げた交通事故」と判断されれば「過失割合」にも影響があり、大きな代償を払うことになりかねません。
最近では、カメラで走行車両のナンバーを読み取り、車検が切れていないかチェックするなど車検切れ車両の摘発は厳しくなっています。
国が車検を義務付けているのには、交通事故を未然に防ぐ目的もあります。
ルールに従い、期限内に車検を受けるよう心がけましょう。
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