
2022年乗用車におけるHEV(ハイブリッド車)の販売比率は49.0%となり、統計開始後はじめてガソリン車を上回りました。
今や市場の半数を占めるハイブリッド車ですが、ガソリンエンジンと電気モーター両方を使い分けて走行するパワーユニットなだけに、その寿命が気になります。
今回の記事では、ハイブリッド車の寿命についての知識、バッテリーを長持ちさせるコツと交換の目安や費用、各メーカーの保証内容もご紹介します。
この記事を読んでわかること
- ハイブリッド車の寿命とバッテリーを長持ちさせるコツ
- バッテリーの交換目安と交換費用
- 国内メーカー6社のバッテリー保証内容紹介
目次
ハイブリッド車とは

ハイブリッドとは「組み合わせる」という意味で、ハイブリッド車とは文字通り「2つ以上の動力を組み合わせた車」です。
一般的には、ガソリンエンジンと電気モーターの2つの動力源を使い分けて走る仕組みの自動車を指します。

ガソリンエンジンでは燃費効率の悪い発進時や低速時は電気モーターで走行し、一定の速度になるとガソリンエンジンと電気モーター両方を使い分けて走行する、まさにいいとこ取りのパワーユニットです。

ハイブリッド車の寿命


ハイブリッド車は、発進時や低速時など電気モーターを使用して走行する車です。
つまり、電気モーターを動かす「バッテリーの寿命」が「ハイブリッド車の寿命」と言えるかもしれません。
ハイブリッド車には駆動用メインバッテリーと補機用バッテリーの2種類が搭載されています。
バッテリーの寿命が近づけばメーターパネルに「警告」が表示されますが、予めバッテリー寿命を把握しておき、速やかに交換できるように準備しておきましょう。
駆動用バッテリーの寿命
駆動用バッテリーとは、走行に必要な動力となるバッテリーです。
バッテリーの寿命は、保証期間としている初年度登録から5年、または10万km走行がひとつの目安といわれています。
補機バッテリーの寿命
補機バッテリーとは、ハイブリッドシステムを動かすためのバッテリーです。
寿命の目安は4〜5年ほどとされています。
補機バッテリーが切れてしまうと車自体が動かなくなってしまうため注意が必要です。
ガソリン車のバッテリーとの寿命差


では、ガソリン車とハイブリッド車でバッテリー寿命に違いはあるのでしょうか?
ハイブリッド車のバッテリー寿命目安が、駆動用バッテリーで5〜8年、補機バッテリーで4〜5年に対して、一般的なガソリン車のバッテリーは2〜3年とされています。
電気モーターで駆動する分、バッテリーの消費が高いハイブリッド車の方が短寿命のように思いますが、目安寿命でいえば1.5〜2倍程度長持ちします。



ハイブリッド車のバッテリーを長持ちさせるコツ


ここで、ハイブリッド車のバッテリーを長持ちさせるコツをご紹介します。
使い方によって劣化が早く進んだり、劣化を抑制できたりするので覚えておきましょう。
充電状態を確認し適度な運転をする
バッテリーは、走行中より駐車時など使っていない時のほうが重要です。
過充電や過放電の状態で放置しておくと劣化してしまうので、駐車場に停める前はバッテリーの充電状態を確認し、減り過ぎでもなく残量が多すぎでもないように調整すればバッテリーのダメージを減らせます。
また、長期放置はサルフェーションという現象を引き起こし、充分な充放電の反応が起こりにくくなります。
1~2週間に1回は1時間以上走行し、充電するよう心がけましょう。
夏の暑さダメージに注意する
バッテリーが最もダメージを受けるのが、高温状態で放置しておくことです。
特に真夏の閉め切ったガレージは高温になりやすいため、より注意する必要があります。走行中と違ってファンなどによる冷却が行われない駐車時は、暑さによるダメージが負いやすい状況となるため、直射日光を避ける、ガレージの換気をしっかり行うなど、駐車環境に配慮しましょう。
合わせて読みたい
2022年乗用車におけるHEV(ハイブリッド車)の販売比率は49.0%となり、統計開始後はじめてガソリン車を上回りました。 今や市場の半数を占めるハイブリッド車ですが、ガソリンエンジンと電気モーター両方を使い分けて走行す […] 起きやすいトラブルの定番といえば「バッテリー上がり」ですが、大容量バッテリーを搭載しているハイブリット車でもバッテリー上がりは起こるのでしょうか? 今回の記事では、ハイブリッド車のバッテリーについて解説し、バッテリー上が […]
ハイブリッド車の寿命はどれくらい? バッテリー寿命を長持ちさせるコツと交換目安をご紹介!
ハイブリッド車でバッテリー上がりはあるのか?バッテリー上がりの原因と対処法、予防対策をご紹介!
ハイブリット車のバッテリー交換目安


ハイブリッド車のバッテリーは、生産完了時点から少しずつ容量が減っていき、ある程度走行すれば交換する必要があります。
また、全く乗らない期間が長すぎるとバッテリーにも負荷がかかってしまいます。
特に中古車でハイブリッド車を購入する場合は、状態や修復履歴の他、経過年数と走行距離も必ず確認しましょう。
バッテリーの寿命が近づけばメーターパネルに「警告」が表示されますが、その前に交換時期の目安となるポイントを紹介します。
バッテリーの保証期間
車のバッテリーには必ず保証期間が設けられています。
メーカー側が「バッテリーを安全に使うことができる」と判断している期間なので、保証期間の終了がそのまま交換時期の目安と考えても良いでしょう。
ただし、車を製造してから購入するまでの経過期間や、使用状況によって前後する可能性があります。
エンジンのかかり具合
車はエンジンをかけるときが最も電力を消費します。
十分に電力がある場合はセルモータが短い間隔で回転するのに対し、電力が低い状態ではセルモータの回転は遅くなり、その分エンジンのかかりも悪くなります。
この症状がある場合は、遅くても2~3日中にバッテリーが上がってしまう可能性が高く、早急に交換する必要があります。
ヘッドライトの明るさ
ヘッドライトを始め、車のライトはバッテリーによって点灯しています。
走行中はバッテリー充電されているため明るさに変化はありませんが、停止している時に以前よりも暗く感じたり、明るさが変化したりするようであればバッテリー残量が少ないと判断できます。
ただし、明るさだけでバッテリー残量を見極めるのは難しいので、保証期間やエンジンのかかり具合と照らし合わせると良いでしょう。
バッテリー液の濁り
バッテリーの中にはバッテリー液という無色透明の硫酸が入っており、極板と呼ばれるパーツと化学反応を起こすことで充電や放電を行っています。
その科学反応の結果「硫酸鉛」という物質生まれ、バッテリー液が濁ります。
充電や放電を繰り返し行えば、バッテリー液が濁るのは正常なことなのですが、濁った状態のままでは充電能力も劣化するので、交換を検討した方が良いでしょう。
駆動用バッテリーと補機バッテリーを交換する費用


前項で「バッテリーの寿命」が「ハイブリッド車の寿命」と紹介しましたが、言い換えればバッテリーを交換するとハイブリッド車も目安以上に走行できる可能性があるということになります。
また、保証期間を過ぎたバッテリーが故障した場合も交換が必要になります。
ここで、駆動用バッテリーと補機バッテリーの交換費用をご紹介します。
駆動用バッテリー交換費用
駆動用バッテリーの交換費用相場は20万円~60万円前後となります。
ハイブリッド車の駆動用バッテリーは、リチウムイオン電池またはニッケル水素電池でできており、部品代金自体が高額になります。
メーカーや車種により部品代金に差はありますが、メーカー純正品のものは特に高額になります。
また、駆動用バッテリーの内部には高電圧が走っているため、整備するには専門の有資格者となるため、駆動用メインバッテリーの交換は、ディーラー、カー用品店(メンテナンス設備のあるお店)、整備工場に依頼することになります。
補機バッテリー交換費用
補機バッテリーの交換費用の目安は、部品代金と工賃を含めて3万円~4万円となります。
メインの駆動用バッテリーとは異なり容量の大きいものは必要ではないため、部品代金はメーカー純正品で3万円~、適合品で1.5万円~となっています。
ディーラー、カー用品店(メンテナンス設備のあるお店)、整備工場で交換を依頼できますが、車検のタイミングなど定期点検時に併せて交換すると費用を抑えられるのでおすすめです。
ハイブリッド車バッテリーのメーカー保証


車のバッテリーには、メーカー側が「バッテリーを安全に使うことができる」と判断している期間として、必ず保証期間が設けられています。
ただし、メーカーにより細かな保証規定や保証部品に違いがあるので注意しましょう。
【トヨタ】特別保証
新車から5年間または10万km走行時点のいずれかの早い方まで。
特別保証部品例(ハイブリッド機構) ハイブリッドトランスアクスル/スタータージェネレーター・メインバッテリー(駆動用電池)/インバーター/DC-DCコンバーター/ハイブリッドコントロールコンピュータ/バッテリーコンピュータ/冷却装置 |
【ホンダ】特別保証
新車登録日から5年間。ただしその期間内でも走行距離が10万kmまで。
ただし、保証期間も「使用される環境や方法などにより異なる」としながらも、基本的には車両と同等の耐久性を備えていると記述しています。
【レクサス】新車保証
新車登録日から5年間、走行距離10万km以内。
また、BEVバッテリー保証は、10年20万kmまでとしています。
いずれも保証期間内であれば、保証書の内容に基づき無料で修理・交換が可能です。
【スズキ】特別保証
新車登録日から5年間、走行距離10万kmまで。
スズキ新車延長保証制度「保証がのびた」を利用すれば、新車購入時から最長で7年間の保証を受けることができます。
【日産】特別保証
新車登録日から5年間。ただし、その期間内で走行距離10万kmまで。
特別保証部品例 「走る」「曲がる」「止まる」に関わるエンジンなどの駆動系部品がメイン |
【スバル】特別保証
新車登録時から5年間(但し10万km以内)
特別保証部品例(ハイブリッド車専用装置) 駆動用メインバッテリー/電動オイルポンプ/DC-DC コンバーター/ハイブリッド制御装置/駆動用モーター/インバーター(駆動モーター用、電動オイルポンプ用)/インテグレーテッドスタータージェネレーター(ISG) 等 |
よくある質問


ハイブリッド車のバッテリーについて、よくある質問をご紹介します。
ハイブリッド車のバッテリーはどうして2つなのか?
ハイブリッド車は、ガソリン燃料を燃やして生じる動力を得るものと、電気モーターの回転で発生するエネルギーとの2つの動力源を使い分けて走る自動車です。
動力源の電気モーターを動かす「駆動用のバッテリー」と、ガソリン車と同じような働きを補助する「補機バッテリー」が必要となるため、ハイブリッド車のバッテリーは2つ搭載しています。
車のバッテリーの電圧が低いとどうなるのか?
バッテリーの電圧が低下するとエンジンがかかりにくくなり、アイドリングストップ機能も働かなくなるなど様々な症状が発生します。
また、放電状態が続くとサルフェーションにより回復が難しくなるため、定期的な走行充電を心掛けましょう。
一度上がったバッテリーは使えないのか?
寿命や内部故障以外の理由でバッテリー上がりがあった場合は、充電すれば再度使用できる場合もありますが、一度上がってしまったバッテリーは充電しても以前の性能は発揮できません。
2年以上ご使用になったバッテリーの場合は交換をお奨めします。
まとめ


今回は、ハイブリッド車の寿命について解説し、バッテリーを長持ちさせるコツと交換の目安や費用、各メーカーの保証内容をご紹介しました。
ハイブリッド車はエンジン車とは異なり、バッテリーの寿命が近づいているサインを見極めるのは難しいといわれています。
年々性能が上がっているハイブリッド車のバッテリーですが、長く使用すればどうしても性能は劣化してしまいます。
突然のバッテリートラブルを防ぐために、定期点検を受けて早めに交換しましょう。
また、車検のタイミングで交換を検討することもおすすめです。
普通車だけでなく軽自動車にもハイブリッド仕様が増えている現在、必要な知識や情報は手に入れておきたいものですね。


埼玉県の三郷市・越谷市・春日部市に店舗を構える軽自動車専門店、レディバグ。
私たちは低価格で高品質な届出済未使用車(新古車)を提案し、トータルサポートを通じて安心・安全なカーライフをお約束します。