原油価格の上昇や円安の影響からガソリン価格の高騰が続いています。
ガソリン代が上がると維持費が気になり、電気自動車や低燃費なハイブリッド車を検討される方も多いのではないでしょうか?
日本自動車販売協会連合会の統計によれば、2022年の乗用車におけるHEV(ハイブリッド車)の販売比率は49.0%となり、統計開始後はじめてガソリン車を上回りました。
今回の記事では、約半数を占めるハイブリッド車の特徴とそのメリット・デメリットを解説し、最近登場したPHV(プラグインハイブリッド車)など、エコカーの種類と特徴をご紹介します。
目次
ハイブリッド車とは
ハイブリットとは「組み合わせる」という意味で、ハイブリット車とは文字通り「2つ以上の動力を組み合わせた車」です。
一般的には、ガソリンエンジンと、電気モーターの2つの動力源を使い分けて走る仕組みの自動車を指します。
ガソリンエンジンでは燃費効率の悪い発進時や低速時は電気モーターで走行し、一定の速度になるとガソリンエンジンと電気モーター両方を使い分けて走行する、まさにいいとこ取りのパワーユニットです。
HEV(ハイブリッド車)の普及率
自動車のパワートレインといえばガソリンエンジンが主流の中、1997年にハイブリッド車「プリウス」が日本で初めて登場し、その低燃費性能が話題を呼びました。
その後技術躍進を遂げ、この10年から20年で急速に普及し始め、今では自動車業界のスタンダードになっています。
2022年(1〜12月)の普通乗用車全体の販売台数は約222万台でした。
その中でHEVの新車販売台数は、108万9077台。
全体の約49.0%がHEV(ハイブリッド車)という割合で、ガソリン車の42.2%を上回りました。
販売台数 | 割合 | |
---|---|---|
HEV(ハイブリッド車) | 108万9077台 | 49.0% |
ガソリン車 | 93万8750台 | 42.2% |
ディーゼル車 | 12万5200台 | 5.63% |
PHEV(プラグインハイブリッド車 | 3万7772台 | 1.70% |
EV(電気自動車) | 3万1592台 | 1.42% |
FCV(燃料電池自動車) | 848台 | 0.04% |
その他 | 64台 | 0.00% |
計 | 222万3303台 | 100% |
HEVが普及した背景には環境問題に対する厳しい燃費規制と、政府による補助金政策が上げられます。
また、信号や細い路地などスタート&ストップが多い日本の交通事情にHEVが適していたのと、日本人の環境意識の高さからとも言われています。
近年では、HEVとガソリン車の両方の設定があるモデルでも、機能装備などHEVが上回っているケースも多く、積極的な理由がない限り、現在ではHEVを選ぶほうが合理的という状況にあります。
HEV(ハイブリッド車)の仕組みとは?
HEVの動力伝達の仕組みは「シリーズ式」「パラレル式」「シリーズ・パラレル式」の3つに分類されます。
シリーズ・ハイブリッド・システム式
シリーズとは直列のことです。
エンジンは発電機として機能し、駆動はすべてモーターが行う構造がシンプルな方式で、いわば「エンジン発電機付き電気自動車」といえます。
小出力のエンジンを準定常的に運転して発電機を回し、モーターまで直列の関係で伝わっていくことから、「シリーズ・ハイブリッド」と呼ばれています。
日産のノートやセレナに採用されているeパワーと呼ばれるものがこの方式になります。
パラレル・ハイブリッド・システム
パラレルとは並列のことです。
主役はあくまでもエンジンで、発進時に最大の力が出るモーターの特性を活かし、エンジンが燃料を多く消費する発進・加速時にモーターでサポートする構造です。
動力の流れが並列であることから、「パラレル・ハイブリッド」と呼ばれています。
ホンダのフィットやインサイトなどが、この方式の代表格になります。
パラレル・シリーズ・ハイブリッド・システム
エンジンとモーターを使い分けて走るハイブリッドシステムで、スプリット方式などと呼ばれることもあります。
パラレルとシリーズの両機能を併せ持っており、発進・低速時はモーターのみで走行し、速度が上がるとエンジンとモーターを効率よく使い分け、エネルギーの無駄を省きながら走行します。
また、減速するブレーキの熱エネルギーを電気エネルギーに変換して蓄え、次の発進や加速に利用しています。
トヨタのプリウスが、この方式の代表格になります。
ハイブリッド車のメリットは?
ハイブリッド車の仕組みをご説明したところで、人気の理由やメリットについて詳しく説明します。
燃費が良い
先述した通り、ハイブリッド車はエンジンとモーターの組み合わせで駆動しているため、燃費が良いのが大きな特徴です。
車両維持費の中で、ガソリン代は大きな割合を占めるため、ここ最近のガソリン価格の高騰は、多くのドライバーの悩みの種でしょう。
燃費が良く、ガソリン代を節約できるので、お財布にも優しい車といえます。
ハイブリッド車の車両価格は、通常のガソリンモデルの車両よりも高い価格設定の携行がありますが、機能や装備などでは上回っているケースも多く、走行距離が多い場合、年間で支払うガソリン代にはかなりの金額の違いが表れます。
また、ガソリンの消費が遅く、給油が必要な回数が少ないことによって実質的な手間が減ることもユーザーにとっては大きなメリットといえます。
減税や補助金など優遇措置が多い
エコカー減税
エコカー減税とは、自動車重量税の税制優遇措置です。
排出ガス性能及び燃費性能に優れた自動車に対して、それらの性能に応じて、自動車重量税を免税・軽減されます。
2023年4月30日までの特例措置でしたが、物価高や半導体不足による納車遅れなど、社会情勢の変化により延長されました。
2024年1月1日以降は段階的に免税・減免の基準が厳しくなります。
環境性能割
環境性能割とは、車を取得した際にかかる税金です。
環境性能割は都道府県に納める地方税で、正式名称を普通車が対象なものを「自動車税環境性能割」もしくは軽自動車が対象なものを「軽自動車税環境性能割」といいます。
自家用として使用される乗用対象車は0(非課税)~3%の税率となっています。
グリーン化特例
グリーン化特例とは、自動車税・軽自動車税を軽減する特例措置です。
排出ガス性能及び燃費性能に優れた自動車に対して適用される自動車税(種別割)・軽自動車税(種別割)を軽減します。
グリーン化特例が適用される車種は以下の4種類です。
グリーン化特例は、ハイブリッド車でもPHEV(プラグインハイブリッド)のみが対象となります。
HEVは「ハイブリッド」という名前を含む広義の電気自動車ではありますが、環境負荷の基準からグリーン化特例には適用されません。
CEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入促進補助金)
CEV補助金とは、まだまだ車両価格の高いCEV(クリーンエネルギー自動車)を購入したときに国から交付される補助金制度です。
CEV補助金は、ハイブリッドでもPHEV(プラグインハイブリッド)のみが対象となります。
グリーン化特例と同じく、HEVは「ハイブリッド」という名前を含む広義の電気自動車ではありますが、環境負荷の基準から国の補助対象にはなっていません。
エンジン寿命が長い
ハイブリッド車は、エンジンとモーターを併用する分エンジンの負担が軽減され、発進や加速、巡行時のモーターのアシストからもエンジンの劣化が抑えられるので、エンジン寿命がガソリン車よりも長くなります。
静かな走行音
ハイブリッド車は、ガソリン車に比べて走行音が静かです。
始動時もハイブリッドシステムを始動するだけの車種もあり、非常に静かにエンジンがかかります。
早朝や深夜に車を利用することが多い場合でも、車の走行音を気にせず安心して利用できます。
環境にやさしい
ガソリン車から排出されるCO₂は温室効果ガスともいわれ、温暖化や大気汚染の原因にあげられています
ハイブリッドカーは、電気で走行している時はCO₂の排出を抑えることができるため、環境にやさしい車といえます。
また、国土交通省が定める基準値をクリアしているので、購入時に減税や免税の対象となります。
ハイブリッド車のデメリットは?
燃費がよく、環境にもお財布にもやさしいハイブリッド車ですが、デメリットについても説明します。
車両価格が高い
ハイブリッド車は、ガソリン車に比べて車両本体価格が高く設定されている傾向があります。
減税や補助金など優遇措置は多いものの、車両価格の高さをネックに感じるかもしれません。
反面、ガソリン車と比べて機能装備などが上回っているケースも多く、給油頻度が減り維持費を抑えられる可能性がありますが、初期費用にどれだけかかるかは事前に確認、検討しておきましょう。
しかし、初期費用の高さを維持費で吸収できるので、年間の走行距離が多い方にはそこまで大きなデメリットとしてとらえる必要はないといえるでしょう。
バッテリー劣化による交換
バッテリーの寿命は、保証期間としている初年度登録から5年、または10万km走行がひとつの目安といわれ、寿命を迎えたときにはバッテリーを交換しなければなりません。
ハイブリッド車には駆動用メインバッテリーと補機用バッテリーの2種類が搭載されていますが、駆動用バッテリーは補機バッテリーよりも高額となるため、ガソリン車と比べてバッテリー交換の費用がかかるのはデメリットでしょう。
また、ハイブリッド車でも、長期間車を動かさないとバッテリーが上がります。
ハイブリッド車のバッテリー上がりとは、一般的に補機用バッテリーが上がることを指しています。
駆動用バッテリーにいくら電力が残っていても走行できません。
突然のバッテリー上がりを防ぐためにも、定期的に車を走らせ、車検時を目安に敵的なバッテリー交換を行いましょう。
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走行音で気づかれにくい
ハイブリッドカーがモーターのみで走行している時、ガソリン車と異なり走行音がほとんどしないため、歩行者などに気づかれにくく飛び出してくる可能性もあります。
ただし、最近のハイブリッドカーは低速になると、意図的に音を出す車両接近通報装置が標準装備されるなどの対策がとられています。
車内がやや狭い傾向にある
ハイブリッド車はガソリン車の装備に加えて、電気モーターやバッテリーなどの装備も必要になり、車内の空間は狭くなりやすい傾向にあります。
最近では、これまで使われていなかったデッドスペースを活用して、ガソリン車と変わらない広さの車種も登場しています。
車内空間は乗車時の快適さにつながるので、試乗して広さを体感することをおすすめします。
燃費が悪くなる場合がある
ハイブリッドカーでも、走行する環境によってはガソリン車とハイブリッドカーの間で燃費の差があまり出ない可能性もあります。
例えば、高速道路のように道幅が広く、スピードを出す道路や信号の少ない山間部などがそうです。
ハイブリッドカーは、速度が低い場合に高い燃費効率を発揮するため、狭い道や信号での停車が多く、あまりスピードを出さない道路に適しているといえます。
ご自身がどのように車を使われるのか検討し、選ばれるとよいでしょう。
エコカーの種類と特徴は?
ここまで、HEV(ハイブリッド車)について解説しましたが、エコカーの種類はアルファベットで表記されることが多く、難しく感じる方も多いのではないでしょうか。
最後に、HEV(ハイブリッド車)以外のエコカーの種類と特徴を、最近話題のPHEV(プラグインハイブリッド自動車)を含めてご紹介します。
BEV(電気自動車)
BEV(電気自動車)とは、Battery Electric Vehicleの略で、ガソリンを使わずバッテリーの電力だけでモーター駆動する電気自動車のことで、エンジンがないのが特徴です。
単に「EV(電気自動車)」と呼ばれこともありますが、「HEV(ハイブリッド車)」「PHEV(プラグインハイブリッド車)」などと区別する際に「BEV」と呼ばれます。
走行中のCO₂排出が無いので、環境性能においてはエコカーの中でもトップクラスで、維持費の安さもBEVの大きなメリットのひとつです。
ほかのEV(電気自動車)やガソリン車に比べて航続可能距離が短く、こまめな充電が必要にはなりますが、同じ走行距離ではガソリン代より電気代の方が安いケースがほとんどです。
バッテリー切れには注意し、バッテリー残量、充電スタンドの有無のチェックを怠らないようにしましょう。
- EVの代表車種
- リーフ(日産)、i-MiEV(アイミーブ、三菱)
PHEV(プラグインハイブリッド自動車)
PHEV(プラグインハイブリッド自動車)とは、Plug-in Hybrid Electric Vehicleの略称で、エンジンとモーター2つの動力が備わっているのはHEV(ハイブリッド車)と同じですが、HEVとは違って外部電源が利用できるのが大きな特徴です。
コンセントにプラグを指すことから「プラグイン」と名づけられました。
PHEV(プラグインハイブリッド自動車)はエンジンからの発電だけでなく、充電スタンドなどの外部電源も使用可能なうえ、電気だけで走れる距離を大幅に長くした次世代エコカーです。
万が一、充電が切れてもガソリンによるエンジン走行ができる能力は、バッテリー切れの不安からも開放されます。
- PHVの代表車種
- プリウスPHV(トヨタ)、アウトランダーPHEV(三菱)
FCV(燃料電池車)
FCV(燃料電池車)とは、Fuel Cell Vehicle」の略で、燃料電池自動車を指します。
水素と酸素の化学反応で作り出した電力をモーターへと送り、動力として使用するのがFCVです。
エンジンを全く使用しないので、CO₂の排出量はもちろんゼロ。
水素という新たな燃料を使用する点などを踏まえ、トヨタは、究極のエコカーとも称しています。
しかし、車両価格が高いこと、発電もととなる水素供給設備が整っていないことなど、普及するまでには更なる整備が必要とされています。
- FCVの代表車種
- MIRAI(トヨタ)、クラリティ FUEL CELL(ホンダ)
よくある質問
ハイブリッドカーについて、よくある質問をご紹介します。
HEVとHVの違いは何ですか?
HVとHEVは“Hybrid Electric Vehicle” の略称で、表記が違うだけでまったく同じ意味です。
どちらも、ガソリンエンジンと電動モーターの2つの動力を搭載するハイブリッド車のことを指します。
ハイブリッド車は電動車に含まれますか?
電動車とは「モーターを動力源もしくは動力源の一部」として使う車の総称です。
「一部」としているので、エンジンの有無は関係なく、エンジンを持たないBEV(電気自動車)も電動車ですし、ハイブリッド車のようにエンジンとモーターを組み合わせて走る車も「電動車」の仲間なのです。
そのためハイブリッド車は2035年のガソリン車の新車販売終了以降も新車での購入が可能です。
まとめ
ここまで、ハイブリッド車の特徴とメリット・デメリットを解説してきました。
環境問題に対する厳しい燃費規制と、政府による補助金政策。
信号や細い路地などスタート&ストップが多い日本の交通事情から、HEV(ハイブリッド車)が急速に普及してきました。
日本政府は「2050年に自動車の生産、利用、廃棄を通じた CO₂ゼロを目指す」としています。
政府が目標としている2050年までにはまだ約27年(2023年3月現在)あるので、当面の間は好きなクルマを選んで問題ありませんが、自動車産業の変革期を迎え、ハイブリッド車を始めとする次世代のエコカーが続々登場している今だからこそ「温室効果ガス排出ゼロ」についても考えてみてはいかがでしょうか。
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