
働く車の代表格である日産の「NV100クリッパー」が、2024年3月に一部仕様変更し、名称を「クリッパーバン」に改め発売されました。
使い勝手の良さや安全性能の高さから、仕事で毎日使うドライバーに好まれている車種だからこそ、その仕様変更の内容が気になります。
今回の記事では、働く車にとって最も重要な「燃費」の視点から、進化したポイントを詳しく解説します。
この記事を読んでわかること
- 燃費向上などクリッパーバンの仕様変更点
- 商用車ならではの嬉しい機能
- 兄弟車「スズキ エブリイ」との比較
目次
日産 クリッパーバンとは

クリッパーバンは、日産から発売されている商用モデルのセミキャブオーバー型軽ライトバンになります。
2003年の発売当初は、三菱ミニキャブのOEM車「クリッパーバン」の車名で発売されました。
2013年からはOEM供給をスズキ エブリイに変更し、車名を「NV100クリッパー」として2代目が発売。
OEM元のスズキ エブリイのフルモデルチェンジに合わせて、2015年には3代目が登場します。5速MTをベースにクラッチ操作とシフト操作を自動化したAGSを採用し、それに伴う燃費性能が注目を集めました。
2024年3月、積載性と利便性はそのままに一部仕様変更した4代目は「クリッパーバン」の車名に戻し発売。
同時に、乗用モデルの「NV100クリッパーリオ」も「クリッパーリオ」に車名を変更しています。

日産 クリッパーバンの基本情報


まずは、新型クリッパーリオの基本情報をNV100クリッパーリオと比較しながら変更点を確認してみましょう。
■新型クリッパーバン
グレード | 本体価格 | 駆動/ミッション | 車高 | 燃費 WLTCモード |
---|---|---|---|---|
DX | 1,333,200円 1,424,500円 1,465,200円 1,578,500円 | 2WD/5MT 2WD/CVT 4WD/5MT 4WD/CVT | 1895mm | 17.2 km/L 16.4 km/L 16.9 km/L 16.4 km/L |
DX GLパッケージ | 1,585,100円 1,739,100円 | 2WD/CVT 4WD/CVT | 1895mm | 16.4 km/L 16.4 km/L |
GX | 1,531,200円 1,644,500円 1,663,200円 1,798,500円 | 2WD/5MT 2WD/CVT 4WD/5MT4WD/CVT | 1895mm | 17.2 km/L 16.4 km/L 16.9 km/L 16.4 km/L |
GX ターボ | 1,848,000円 2,002,000円 | 2WD/CVT 4WD/CVT | 1895mm | 15.1 km/L 15.1 km/L |
■NV100クリッパー
グレード | 本体価格 | 駆動/ミッション | 車高 | 燃費 WLTCモード |
---|---|---|---|---|
DX | 1,090,100円 1,191,300円 1,222,100円 1,323,300円 | 2WD/5MT 2WD/5AGS 4WD/5MT 4WD/5AGS | 1895mm | 17.2km/L 16.4km/L 16.9 km/L 16.4 km/L |
DXセーフティパッケージ | 1,262,800円 1,394,800円 | 2WD/5AGS 4WD/5AGS | 1895mm | 16.4 km/L 16.4 km/L |
DX GLパッケージ | 1,367,300円 1,499,300円 | 2WD/4AT 4WD/4AT | 1895mm | 14.6 km/L 14.6 km/L |
GX | 1,332,100円 1,456,400円 1,464,100円 1,588,400円 | 2WD/5MT 2WD/4AT 4WD/5MT4WD/4AT | 1895mm | 17.2 km/L 16.4 km/L 16.9 km/L 14.6 km/L |
NV100クリッパーと大きく変わったのは、トランスミッションです。
引き続き5MTの設定はあるものの、従来の4AT/5AGS(オートギアシフト)に代わってCVTが採用されています。
グレードは、660ccのターボエンジンを搭載した「GXターボ」が再設定。
NV100クリッパーと同じく、それぞれのグレードに2WD・4WDが設定されていますが、新型クリッパーバンは路面状況に応じて駆動方式を切り替えられる電子制御式4WDを採用しており、通常走行の「2WD」、自動で駆動力を制御する「4WD AUTO」、未舗装路で力を発揮する「4WD LOCK」の3モードが用意されています。
価格は1,333,200円〜と、今回の仕様変更で車両本体価格が20~30万円前後価格がアップしています。
新型クリッパーバンの仕様変更とは?
クリッパーバンの変更箇所を詳しく見ていきましょう。
トランスミッションとグレード設定


前項でも触れましたが、今回の仕様変更で最も大きく変わったのがトランスミッションです。
NV100クリッパーは、クラッチ操作とシフト操作を自動化したAGSを採用し注目を集めましたが、さらなる燃費向上を実現するため、4AT/5AGSから無段変速機であるCVTにトランスミッションを変更しました。
引き続き5MTも設定されていますが、トランスミッションをCVTに変更した事により、最適なギヤ比で常に滑らかな走りが実現しています。
さらに、660ccのターボエンジンを搭載した「GXターボ」グレードが再設定され、利用シーンに合わせた選択肢が広がりました。
エンジンと小回り性
NV100クリッパーは、SOHC12バルブ水冷直列3気筒エンジンを搭載していましたが、新型クリッパーバンは、DOHC12バルブ吸排気VVTエンジンを搭載しています。
どちらも3気筒エンジンという点では共通していますが、VVT機構により、低回転域でのトルクと高回転域でのパワーを両立させることができ、低燃費とキビキビとした走りで街中でもストレスを感じることはありません。
また、大積載量を誇るクリッパーバンの最小回転半径が4.3mから4.1mと小さくなりました。
僅かな差と思うかもしれませんが、最小回転半径が小さくなったことによって、より取り回しがしやすく狭い路地への進入や縦列駐車、車庫入れなどにも抜群の小回り性を発揮します。
デザインとボディカラー


ボディカラーは、ホワイト、シルバー、ブラックのベーシックな3色に加え、「デニムブルー」「クールカーキ」「モスグレー」「スノーパールホワイト」の4色が新たに追加され、計7色から選べます。
LEDヘッドランプ


ヘッドランプは、「ハロゲンヘッドランプ(マニュアルレベライザー付)」から、視認性が高い「LEDヘッドランプ(ハイ/ロービーム、マニュアルレベライザー付)」となりました。
照射軸の補正を手動で行えるマニュアルレベライザー付なので微調整が可能です。
※DXグレードはハロゲンヘッドランプになります。
日産 クリッパーリオの魅力
NV100クリッパーで好評だった仕様は、新型クリッパーバンにも引き継がれています。
広い荷室と広いドア幅


最大積載量は350kgで他社の軽バンと同じですが、クリッパーバンはバックドア開口部が、開口幅が1340mm、開口高が1165mmと広く、荷室床面地上高が650mmと低いため、積み降ろしの作業が楽に行えます。
また、用途にあったシートアレンジが可能で、リヤシートを折りたたみ広々としたフラットスペースを用いれば、パンケースの他、ダンボール、タタミなどの平らな形状の荷物を効率よく積載できます。
さらに、助手席シートを前方へ折りたたむことで長尺物も余裕で積み込むことも可能です。
乗り降りも移動もラクラク


前席355mm、後席375mmの低い乗降ステップで、頻繁な乗り降りもラクラク。
運転席と助手席のピラー部分に大型の乗降グリップを設けていますので、乗り降りが多く素早く動きたい方に便利です。
また、前席のフロアに障害物がなく、足元に広いスペースを確保しており、センターコンソールが無いため、ウォークスルーとして前席間の移動もスムーズです。
充実した安全装備
今や安全装備は車選びをする上で必要不可欠な要素です。
新型クリッパーバンも、衝突被害軽減ブレーキ(対歩行者)/ペダル踏み間違い時加速抑制装置/車線逸脱警報/先進ライト(自動切替型前照灯など)の採用により、「サポカーS ワイド」に該当し衝突被害軽減ブレーキの性能認定車です。
・インテリジェント エマージェンシーブレーキ
・踏み間違い衝突防止アシスト
・LDW(車線逸脱警報)
・インテリジェント DA(ふらつき警報)
・先行車発進お知らせ
・ハイビームアシスト
・エマージェンシーストップシグナル
・ヒルスタートアシスト
・VDC(ビークルダイナミクスコントロール[TCS機能含む])
さらに、危険な状態になりそうなときも安全な状態に戻すようドライバーをサポートする安全機能も充実しています。
・ABS(アンチロックブレーキシステム)+EBD(電子制御制動力配分システム)
・軽量衝撃吸収ボディ
・歩行者傷害軽減ボディ
・衝撃吸収構造



安心と安全をプラスするアクセサリー


日々の安心と安全をプラスする便利なオプションが用意されています。
・ナビレコカメラお買い得パック(MJ323D-W)+ETC2.0 [ディーラーオプション]
・ナビレコお買い得パック(MJ323D-W)[ディーラーオプション]
・日産オリジナルオーディオ CD一体AM/FM電子チューナーラジオ [ディーラーオプション]
・ETC2.0ユニット ナビ連動モデル [ディーラーオプション]
最後によく比較される「スズキ エブリイ」


クリッパーバンとよく比較される車種は、OEM供給もとの「スズキ エブリィ」になります。
エブリイは「人の働きやすさ」を第一に考えて設計された軽商用車です。
加速性能の良さと広い室内空間を活かした積載性能に定評があり、ビジネスシーンに限らずちょっとしたお出かけに至るまで様々なシーンで利用されています。
簡単にクリッパーバンとエブリィを比較してみましょう。
車種 | クリッパーバン DX(2WD) | エブリィ PAリミテッド(2WD) |
---|---|---|
ミッション | CVT | CVT |
燃費WLTCモード | 16.4km/L | 16.4km/L |
荷室高 | 1,240mm | 1,240mm |
荷室長 | 1,910mm | 1,910mm |
荷室幅 | 1,385mm | 1,385mm |
バックドア開口高 | 1,165mm | 1,165mm |
バックドア開口幅 | 1,340mm | 1,340mm |
荷室床面地上高 | 650mm | 650mm |
タイプ | 商用 | 商用 |
やはり、OEMつながりの兄弟車両なので大きな違いはありません。
クリッパーバン、エブリイはどちらも広い積載スペースが自慢の車ですが、メーカーごとのブランドイメージやターゲット層など細かな部分に違いがあります。
どちらの車種を選ぶかは、ご自身の好みに合わせて選ばれるのがよいでしょう。
OEM車が存在する理由


最後にOEMについて解説します。
OEMとは、Original Equipment Manufacturerの略で、委託を受けた他社ブランドの製品を製造することをいいます。
簡単に言うと、A社で開発・製造した車をB社が仕入れて、B社のエンブレムをつけて販売しているということです。
そんなことしてA社もB社もメリットはあるの?と思うかもしれませんが、A社にもB車にもそれぞれメリットがあるのです。
販売するA社(供給する側)としては、OEM車として販売すれば生産台数が増えることにより、生産性の向上やコストの削減に繋がります。
一方、仕入れるB社(販売する側)としては、開発コストをかけずに、販売車種を増やせるメリットがあるのです。
このOEMの仕組みは軽自動車に多く見られ、今回のクリッパーリオでいえば、A社に該当するのが「スズキ エブリィ」となり、B社に該当するのが「日産 クリッパーバン」となります。
新型クリッパーバンのまとめ


今回は、2024年3月に一部仕様変更された「クリッパーバン」について紹介しました。
クリッパーバンは軽商用車の中でも、働く車に特化した機能と荷物を多く積むことができる積載スペースが自慢の車です。
さらに、トランスミッションの変更によって燃費性能も向上しました。
働く車としてはもちろんですが、その広い室内空間と積載量を活かしてアウトドアなどアクティブに使いたい方にもぴったりな車です。
2024年2月、日産の商用車に「クリッパーEV」が新たに登場しました。
重い荷物をスムーズに運べるようパワフルなモーターを搭載しているにもかかわらず、静寂性に優れており、何より「環境に配慮した商用車」として注目を集め、発売以来多くの方に選ばれています。
気になった方は、より機能が充実した「クリッパーバン」と新たな軽商用モデルの「クリッパーEV」を乗り比べてみてはいかがでしょうか?


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