
2020年、日本政府は2050年までにカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出をゼロにすること)を目指すことを宣言しました。
その戦略の1つとして「2035年までに国内の新車販売で電動車の比率を100%にする」ことも明記しています。
※注1)電動車とはハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、電気自動車(BEV)、燃料電池車(FCEV))の総称です。
電気自動車とガソリン車の違いや、補助金・燃費などから「どちらを選択するのが賢い買い物なのか?」など、コスト面が気になる方も多いと思います。
今回は日産の軽自動車から、電気自動車「サクラ」とガソリン車「デイズ」を比較して説明します。
この記事を読んで分かること
- 電気自動車とガソリン車の違い
- 電気自動車の4つのメリットと3つのデメリット
- 軽自動車規格の電気自動車が、電気自動車普及の鍵として期待される理由
電気自動車とガソリン車の違い

電気自動車はEV(Electric Vehicle)とも呼ばれ、ガソリンではなく、電気をエネルギー源として走行する自動車を指し、エンジンの代わりにモーターが搭載されています。
エンジンが搭載されていないため、ガソリン車のようなエンジン始動時の音や振動、アイドリング中の音や振動がないため、静粛性で優れています。
電気自動車とガソリン車の最大の違いは、走行時に二酸化炭素を排出しない点です。
電気自動車は環境に優しいクルマとして世界中から注目されています。
2021年のCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)では、販売される全ての新車を主要市場では2035年までに、世界全体でも2040年までに、電気自動車などのゼロエミッション車とすることを目指す共同声明が発表されました。
電気自動車を購入するメリット

電気自動車を購入するメリットは以下の4つです。
- ・燃料費を抑えられる
- ・静粛性の高さと力強い走り
- ・補助金がもらえる
- ・環境に優しい
日産の電気自動車「サクラ」とガソリン車「デイズ」を例に、詳細をご説明します。
燃料費を抑えられる
日産「サクラ」が1kWh(1000Wh)の電力で走行できる距離はカタログ数値で約8.06㎞です。
以下の条件で必要な電気代を算出します。
- ・自宅での普通充電
- ・1年間で10,000㎞走行
- ・電気代は31円/kWh(2023年9月時点での平均価格)
日産のガソリン車「デイズ」についても同じ条件でガソリン代を算出します。
日産「デイズ」のカタログ燃費は23.3km/Lです。
- ・1年間で10,000㎞走行
- ・ガソリン代は178円/L(2023年9月時点での平均価格)
サクラ | デイズ | |
---|---|---|
電費/燃費(カタログ) | 8.06km/kWh | 23.3km/L |
電気代/ガソリン代 | 31円/kWh | 178円/L |
10,000㎞走行する ために必要な費用 | 約38,461円 | 約76,394円 |
日産「サクラ」の電気代と日産「デイズ」のガソリン代を比較すると約2倍の差でサクラの方が安く抑えられます。
電気代やガソリン代、走行の仕方によっても上記の数値は変わりますので1つの目安としてください。
高い静粛性と力強い走り
静粛性
電気自動車はガソリン車とは異なり、エンジンの代わりにモーターを動かして走行します。
そのため、ガソリン車のようなエンジンを始動した時の音や、アイドリング中の音や振動がなく、静粛性に優れています。
加速性
モーターを搭載する電気自動車は加速性の高さも特徴です。
数値が大きいほど力強い加速性能を持っていることを示す最大トルクは、日産「サクラ」が195Nmなのに比較して、「デイズ」は60Nmと3倍以上の差があります。
モーターは始動後にすぐ最大トルクを発生するため、アクセルを踏んだ瞬間から力強く走行することができます。
補助金
電気自動車は購入時に補助金を申請できます。
補助金の対象(個人の場合)は車両・V2H充放電設備・外部給電器です。
※注2)2023年10月現在、車両の補助金以外は予算超過のため申請できません。
※注3)国、自治体どちらも、補助金などの交付条件や限度額は毎年更新されますので都度ご確認ください。
最新情報は次世代自動車振興センター のWEBサイトなどでご確認ください。
国の補助金
2023年10月現在、国の補助金は「CEV補助金」(クリーンエネルギー自動車の車両に対する補助金)です。
サクラの場合、車両に対する補助金を申請する場合には55万円が上限となっており、登録から1ヵ月以内に申請する必要があります。
補助金に関する詳細は次世代自動車振興センター のWEBサイトをご確認ください。
自治体の補助金
自治体の補助金は、自治体によって内容や補助金額が異なるため注意してください。
東京都の場合は、電気自動車を購入すると車両に対する補助金は55万円~。
更に再エネ電力購入の場合、個人の場合、15万円分の補助金が追加されます。
補助金に関する詳細は次世代自動車振興センターのWEBサイトをご確認ください。
また、金額など詳細はお住まいの自治体に確認をしてください。
環境に優しい
電気を燃料として走る電気自動車は二酸化炭素を排出しないため、環境に優しい車として注目されています。
二酸化炭素が増えることで、地球温暖化が進み、異常気象や生態系の変化にすでに影響を及ぼしはじめています。
電気を作る時に化石燃料を燃やすことで二酸化炭素が排出されますが、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを利用して発電した電気から充電することで本当の意味での二酸化炭素ゼロに繋がります。
電気自動車を購入する方の中には、購入時に太陽光発電を自宅に導入する方もいます。

電気自動車のデメリット

電気自動車のデメリットは以下の3つです。
- ・イニシャルコストが高額
- ・充電の場所と時間
- ・航続距離が短い
日産の電気自動車「サクラ」とガソリン車「デイズ」を例に、詳細をご説明します。
イニシャルコストが高額
電気自動車は高価なリチウムイオンバッテリーを使用しているため、車両価格が高額になります。
また、自宅で充電する場合には設備の設置・工事の費用が必要です。
前述の通り、車両と充電設備であるV2Hには国や地方自治体の補助金が出るため、利用することでイニシャルコストを抑えることが可能です。(補助金については決められた予算を超過すると終了する他、対象車種・機器が制限されているため次世代自動車振興センターのWEBサイトにてご確認ください)
車両価格
「サクラ」と「デイズ」のベースグレード価格は以下の通りです。
・サクラX:2,548,700円
・デイズS:1,332,100円
装備の違いはありますが、ベースグレードで比較するとサクラの価格はデイズの2倍近くになります。
自宅充電するための設備費用
出典:日産自動車株式会社
電気自動車を自宅で充電するためには、機器や設置工事の価格がかかります。
【普通充電コンセント】
充電ケーブルが付属品としてついている車が多いですが、サクラの場合はコントロールボックス付の充電ケーブルがオプションです。
電気工事が必要になるため、工事については販売店へ相談してください。
工事費込みで価格の目安は200,000円〜です。
【V2H】
V2Hは(Vehicle to Homeの略)、電気自動車のバッテリーに蓄えた電気を家で使う仕組みを指します。
専用機器の設置が必要で、急速充電可能。
工事費込みの価格目安は850,000円〜です。
機器によって価格に幅があるため、ご注意ください。
充電に時間がかかる
電気自動車は走行するために充電する必要があります。
サクラの場合の充電時間は以下の通りです。
充電方法 | 満充電時間(目安) |
---|---|
自宅充電(普通充電) | 8時間 |
充電スポットで充電(急速充電) | 40分 |
ガソリン車であれば、ガソリンスタンドに行き、数分で給油が完了します。
充電に時間がかかる点は電気自動車のデメリットと言えるでしょう。
航続距離が短い
サクラの一充電走行距離はカタログ数値で180kmです。
一充電走行距離とは、満充電で走行したときの走行距離を指します。
一方、デイズはカタログ燃費が23.3km/L、ガソリンタンク容量は27Lなので、ガソリン満タンの状態で約629km走行できる計算です。
上記はどちらもカタログ数値での計算なので、走行環境によって数値は異なりますが、電気自動車は同じサイズのガソリン車と比較すると航続距離が短くなります。

日産サクラが注目されている理由
出典:日産自動車株式会社
ここまで、電気自動車のメリット・デメリットを説明しました。
今回、ガソリン車との比較に挙げたサクラは自動車業界でもかなり注目を集めている電気自動車です。
なぜサクラは注目を集め、販売を伸ばしているのか、その理由を説明します。
軽自動車と電気自動車の親和性の高さ
軽自動車は車の性質上、電気自動車に向いていると言われている理由が3つあります。
- ・普通車の電気自動車と比較して車両本体価格が安い
- ・セカンドカーとしての需要が多く、近距離運転が多い
- ・軽自動車のガソリン車と比較して静かでパワーのある走りが可能
軽自動車の電気自動車は、電気自動車のデメリットをカバーしつつ、軽自動車のデメリットも補えるため、親和性が高く注目されています。
異例のヒットと言われるサクラ
出典:日産自動車株式会社
サクラは2022年に登場した、軽自動車規格の電気自動車です。
デイズで高く評価されている広い車内空間と、リーフの開発で蓄積した技術で、快適かつ安全に毎日の運転を楽しむことができる設計が魅力です。
2022年5月に発表されてからわずか2ヵ月で2万3000台を受注し、電気自動車としては異例のヒットと言われています。
2022年度の販売台数は約3万3000台以上で、電気自動車の国内販売台数の約4割を占めました。
前述の通り、軽自動車と電気自動車の親和性は高く、サクラは電気自動車普及の軸として期待されています。
サクラについての詳しい記事はこちらをご覧ください

まとめ

今回は、電気自動車とガソリン車の違い、補助金・燃費などから「どちらを選択するのが賢い買い物なのか?」を説明しました。
2022年のEV新車販売台数(普通自動車+軽自動車)は5万9237台で、前年比の約2.7倍となっており、新車販売の割合は約1.7%です。(出典 日本自動車販売協会連合会 全国軽自動車協会連合会)
電気自動車の新車販売の割合は約1.7%とまだまだ低い比率ですが、年々売れ行きは伸びており、脱炭素社会の実現に向けて、これからさらに確実に伸びていくことが予想されます。
2023年9月現在、サクラの納期は1か月〜2か月となっています。
軽自動車規格のEVは普通自動車のEVと比べて、価格や小回りの利く運転のしやすさなど日常遣いしやすい仕様になっています。
興味がある方は、新規購入や乗り換えのタイミングで検討してみてはいかがでしょうか。

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