
荷室が広く小回りの利く軽バンは、特に配達などの仕事用として人気の軽自動車です。
現在各メーカーよりさまざまな軽バンが発売されているため、どの軽バンが自分の用途に合うか、悩まれる方も多いのではないでしょうか。
今回は人気の軽バンの特徴や比較をもとに、おすすめの車種をご紹介していきます。
この記事を読むと、「現行型軽バン5車種(OEM車を除く)の特徴と価格、燃費性能の比較」、「荷室の特徴と使い勝手」、「仕事の内容や重視するポイント別おすすめ軽バン」が分かります。
ぜひ、自分に合う軽バン選びの参考にしてください。
目次
軽バンとはどのような車か

種類
軽バンは小型貨物自動車に分類され、貨物の運搬を主目的に設計されています。
物を運ぶための車である軽バンは、荷物を出し入れする開口部の面積や、荷物を置く場所の広さに条件があり、後部座席の人が乗るスペースよりも荷室スペースが広くなければなりません。
エンジンと駆動
貨物用の軽バンではほとんどの車種でエンジンを運転席の下に搭載し、後輪を動かすFR(フロントエンジン リアドライブ)、またはエンジンをリアシート下に搭載し後輪を動かすMR(ミッドシップエンジン リアドライブ)という駆動方式を採用。
その理由として、多くの荷物を車体後部の荷室に積んで走る軽バンは、特に後輪の踏ん張りが重視される点が挙げられます。
ボディ
多くの荷物を載せて走行するための頑丈なボディ構造も特徴のひとつ。
デザインもあまり変わらないため、長く乗っていても古さを感じさせません。
また、荷室が広いため、荷物を載せるという使い方のほかにキャンプなどのレジャーや車中泊用としても人気がある軽バン。
前述の通り、物を運ぶための車なので、後席の乗り心地は乗用車と比較して硬めです。
後席に人が頻繁に乗る方は、試乗による乗り心地の確認をおすすめします。
維持費
軽自動車は維持費の安さが魅力ですが、軽バンは自動車税が軽乗用車よりも安くなります。
車を購入するときの費用はもちろん、車検代やガソリン代など普通車のバンと比較すると維持費が抑えられるため、配達などの事業をはじめようとする方にとって魅力的です。

【2025年5月最新】現行の軽バン5車種


2025年5月現在、新車で販売されている軽バンは5車種です。
※OEM車、EVを除く
- ・スズキ エブリイ
- ・スズキ スペーシアベース
- ・ダイハツ ハイゼットカーゴ
- ・ダイハツ アトレー
- ・ホンダ N-VAN
上記車種の他に、OEM車が販売されています。
- スズキ エブリイのOEM車:日産 クリッパーバン/マツダ スクラムバン/三菱 ミニキャブバン
- ダイハツ ハイゼットカーゴのOEM車:トヨタ ピクシスバン/スバル サンバーバン
- ダイハツ アトレーのOEM車:スバル ディアス
※OEMとはOriginal Equipment Manufacturerの略で、車の場合、他社が開発製造した車種を提供してもらうこと
OEM車やEV車を除く5車種の特徴を簡単に紹介します。


スズキ エブリイ

エブリイは1982年に初代モデルが発売。
「人の働きやすさ」を第一に考えて設計されています。
作業の負担軽減を図るため、前席とバックドアのどちらも地上高が低く設定されており、乗り降りや荷物の積み降ろしがしやすくなっている点が魅力。
配送業だけでなく、小売業や卸売業、建設業の方など、様々な業種の方に広く使われている車です。
安全性能
「スズキ セーフティ サポート」を標準装備。
衝突被害軽減ブレーキや前後の誤発進抑制機能などが装備されます。
グレード
グレード設定は「JOINターボ」「JOIN」「PC」「PAリミテッド」「PA」の5種類。
それぞれに2WD(2輪駆動)と4WD(4輪駆動)の駆動方式があり、PAは4ATと5MT、JOINターボはCVT、その他のグレードにはCVTと5MTのトランスミッションが設定されています。
グレード設定は「JOINターボ」「JOIN」「PC」「PAリミテッド」「PA」の5種類。それぞれに2WD(2輪駆動)と4WD(4輪駆動)の駆動方式があり、PAは4ATと5MT、JOINターボはCVT、その他のグレードにはCVTと5MTのトランスミッションが設定されています。
エブリイについての詳しい記事はこちらをご覧ください。



スズキ スペーシアベース


スペーシアベースは、2022年8月に登場した新型軽商用車で「遊びに仕事に空間自由自在。新しい使い方を実現する軽商用バン」がコンセプト。
商用車の特徴である車内空間の広さや積載性と、乗用車の特徴である運転のしやすさや快適性を兼ね備えた車です。
マルチボードが標準装備となっており、車中泊やワーケーションなど、目的に合わせて室内空間を自由にアレンジ可能。
安全性能
「スズキ セーフティ サポート」を標準装備。
グレード別で高速道路でのドライバーの負担を軽減する、アダプティブクルーズコントロールが装備されますので、高速道路の利用頻度が高い方や長距離運転をする方に嬉しい機能です。
グレード
グレードは「XF」「GF」の2種類で、それぞれに2WD(2輪駆動)と4WD(4輪駆動)の駆動方式、ミッションはCVTが設定されています。
スペーシアベースは、乗用車のスペーシアと同じくトランスミッションはCVT、エンジンはR06A型エンジンを搭載しておりパワフルな走りを実現。
燃費は2WD車で21.2km/Lと軽商用車No.1の低燃費です。
スペーシアベースについての詳しい記事はこちらをご覧ください。
ダイハツ ハイゼットカーゴ


ハイゼットカーゴは1982年に初代モデルが発売。
ハイゼットカーゴの特徴は、軽バン最大の積載量です。
荷室長は2名乗車時で1,915mm、荷室幅1,410mm、荷室高1,250mmと、軽バンNo.1。
また、窓開閉ハンドルや床のアンカー金具、シートベルトリトラクターなどをフラット化によりデッドスペースを無くすと同時に、荷物に傷がつきにくい設計になっています。
安全性能
「スマートアシスト」を標準装備。
衝突回避支援ブレーキ機能のほか、ふらつき警報、標識認識機能などが装備されます。
グレード
グレードは「クルーズターボ」「クルーズ」「デラックス」「スペシャルクリーン」「スペシャル」の5種類。
それぞれに2WD(2輪駆動)と4WD(4輪駆動)の駆動方式、クルーズターボ、スペシャルクリーンはCVT、その他のグレードはCVTと5MTのトランスミッションが設定されています。
ハイゼットカーゴは軽バンで初めてCVTを採用し、スムーズな走りを実現した車です。
ハイゼットカーゴについての詳しい記事はこちらをご覧ください。
ダイハツ アトレー


アトレーは、1981年に登場した仕事やアウトドアまで使える車です。
スズキ エブリイワゴンと同じ乗用車として販売していた時期もありましたが、2021年のフルモデルチェンジで乗用車から商用車になりました。
RVと呼ばれるレジャーや趣味などのようなレクリエーションのための車として販売されている軽バンです。
「第三の居場所」をキャッチコピーに、大容量の荷室と積載性や安全性能を備えた自由に過ごせる車として話題に。
安全性能
「スマートアシスト」を標準装備。
グレード別で、全車速追従機能付ACC(アダプティブクルーズコントロール)やLKC(レーンキープコントロール)が装備されます。
グレード
グレードは「RS」「X」の2種類で、それぞれに2WD(2輪駆動)と4WD(4輪駆動)の駆動方式、トランスミッションはCVTが設定されています。
全車ターボエンジン搭載で力強い走りが魅力です。
アトレーについての詳しい記事はこちらをご覧ください。
ホンダ N-VAN

ホンダのN-VANは2018年にNシリーズ初の新型商用車として販売されました。
Nシリーズ特有のデザイン性や、機能性が非常に魅力的な軽バンのため、仕事だけではなくアウトドアやレジャー目的で購入される方も多い軽バンです。
N-VANの大きな特徴は、乗用車であるN-BOXやN-WGNと同じFF(前輪駆動)低床プラットフォームを採用し、助手席側のセンターピラーをなくしたこと。
これにより助手席側に大きな開口部が生まれ、荷物の積み下ろしをスムーズにおこなえます。
安全性能
「Honda SENSING」を標準装備。
衝突軽減ブレーキのほか、歩行者事故低減ステアリングやMT車を除く全車に、アダプティブクルーズコントロールと車線維持支援システムが装備されるなど、安全機能が充実しています。
グレード
グレードは「 FAN・ターボ」「FAN」「L」「G」の4種類。
それぞれにFFと4WD(4輪駆動)の駆動方式、「FUN・ターボ」「L」はCVT、「FUN」「G」はCVTと6MTのトランスミッションが設定されています。
N-VANについての詳しい記事はこちらをご覧ください。
軽バン5車種の価格の比較

本体価格の比較表を作成しました。※受注生産車を除く
車種 | 本体価格 |
エブリイ | 1,197,900円~1,819,400円 |
スペーシアベース | 1,471,800円~1,744,600円 |
ハイゼットカーゴ | 1,100,000円~1,683,000円 |
アトレー | 1,639,000円~1,914,000円 |
N-VAN | 1,392,600円~2,092,200円 |
本体価格はハイゼットカーゴが最も安く、1,100,000円〜となっています。
価格を抑えて軽バンに乗りたい方におすすめです。
スペーシアベースやアトレーはオートエアコンやプッシュボタンスタートなどが標準装備。
N-VANには乗用車のN-BOXやN-WGNに搭載されているのと同じ内容の安全装備である「Honda SENSING」が搭載されており、安全性能が優れています。
従来の軽バンでは考えられないほど装備が充実しており、価格が高額な車種はそれ相応の装備が魅力の1つです。
車種によってエアコンやキー形状、パワーウインドウなどの標準装備が異なるため、購入前にご自身の求めている装備の有無をご確認ください。
軽バン5車種の燃費性能の比較


燃費の比較表を作成しました。
軽バンは軽乗用車と比較して燃費は若干劣る傾向にありますが、モデルチェンジを繰り返しながら燃費性能も向上。
カタログ燃費数値のWLTCモードは、国際的な試験法であり実走行に近い状態での試験のため、実際の燃費とかなり近い数値であると言われています。
※WLTCモードは「市街地モード」「郊外モード」「高速道路モード」3つの走行モード毎の、平均的な使用時間配分で構成
車種 | カタログ燃費(WLTCモード) |
エブリイ | 14.6km/L~17.2km/L |
スペーシアベース | 19.9km/L~21.2km/L |
ハイゼットカーゴ | 14.7km/L~15.6km/L |
アトレー | 14.7km/L |
N-VAN | 17.0km/L~19.8km/L |
※各メーカーHPカタログ燃費数値情報を参照
最も燃費性能が優れている車種はスズキのスペーシアベースです。
高効率エンジンの採用や軽量化で低燃費を実現。
WLTCモードで21.2km/Lという燃費は他の4車種の燃費数値を大きく上回っているため、長距離の運転をされる方や燃費性能を重視している方には特にスペーシアベースがおすすめです。
ダイハツのアトレーは最も燃費数値が低いという結果ですが、全車ターボエンジン搭載である点が要因となっています。
燃費は下がりますが、荷物を積載した上で力強い走りを希望される方にはターボエンジンが必須といえるでしょう。
5車種の中で、スペーシアベースのみターボエンジン搭載グレードの設定がないため、ご注意ください。
軽バン5車種の荷室の広さの比較
荷室寸法の比較表を作成しました。※2名乗車時
車種 | 荷室長 | 荷室幅 | 荷室高 |
エブリイ | 1,820mm~ 1,910mm | 1,280mm~ 1,320mm | 1,240mm |
スペーシアベース | 1,205mm | 1,245mm | 1,220mm |
ハイゼットカーゴ | 1,820mm~ 1,915mm | 1,265mm~ 1,270mm | 1,225mm~ 1,250mm |
アトレー | 1,820mm | 1,265mm | 1,215mm |
N-VAN | 1,510mm(左) 1,330mm(右) | 1,235mm | 1,370mm |
軽バンは貨物の運搬を主目的に設計されているため、荷室が狭いという心配は不要です。
しかしながら、軽バンそれぞれに若干の違いがあるため、購入前にぜひご自身で荷室の広さをご確認ください。
長物を載せたい、架装を施してキャンピングカーにしたい方には荷室長が1,800mm以上あるエブリイ、ハイゼットカーゴ、アトレーが特におすすめ。
また、N-VANは荷室高が飛びぬけて高いため、背の高い荷物を積みたい方におすすめです。
仕事の内容と重視するポイント別おすすめの軽バン


各車種の特徴をもとに、重視するポイント別でおすすめの軽バンをご紹介します。
乗り降りが多い仕事の方におすすめの軽バン
乗り降りが多く、道が狭い都市部で働く方におすすめの軽バンはスズキのエブリイです。
前席は地上高が355mmと低く、握りやすい大型の乗降グリップを装備しており、ストレスのない乗り降りが可能。
シフトノブの位置がステアリング近くに設置され、前席の足元空間が広く確保されているため、前席の移動や助手席側からの乗降もスムーズです。


出典:スズキ株式会社
配達の仕事などで狭い路地などを通る場面があると思いますが、最小回転半径が4.1mと軽バンの中で最も小回りが利くため都会の狭い道にぴったりの一台です。
燃費性能と汎用性の高さを重要視する方におすすめの軽バン
燃費性能と汎用性の高さを重要視する方におすすめの軽バンはスズキのスペーシアベースです。
前述の通り、スペーシアベースはWLTCモードで21.2km/Lと軽バンの中で最も燃費が良い車のため、長距離を走る方には魅力的。
スペーシアベースは低燃費だけでなく、使い勝手の良さも魅力です。
685mm×1,130mmのマルチボードが標準装備されており、ボードの使用により車内空間を様々な形で使用できます。
上段モード
仕事用のデスクとして使用したり、載せている荷物をボードで隠したりすることが可能です。


出典:スズキ株式会社
中段モード
荷室を上下に分割する棚板として荷物の整理などに役立ちます。


出典:スズキ株式会社
下段モード
前席の背もたれを倒すと、フルフラットな空間で大人2人でもゆったり快適な車中泊が楽しめます。


出典:スズキ株式会社
前後分割モード
前後に分割することで荷物が整理しやすい荷室にアレンジ可能です。
ペットとの旅でケージを安全に載せるスペースとしても活用できます。


出典:スズキ株式会社
たくさんの荷物を運ぶ配送業の方におすすめの軽バン
たくさんの荷物を運ぶ配送業の方におすすめの軽バンは、ダイハツのハイゼットカーゴです。
荷室サイズが軽バンNo.1となっているため、多くの荷物を積載可能。
助手席を前に倒すと床面長は2,650mmとなるため、長尺物の積載もできます。
従来では丸みを帯びていた側面上部の傾きを直角に近づけ、荷室内部もフラット化して無駄なく荷物を載せられるようになりました。
開口部も広いため、荷物の出し入れもスムーズです。


出典:ダイハツ株式会社
高速道路の利用頻度が高い、趣味にも使いたい方におすすめの軽バン
高速道路の利用頻度が高いため力強い走りが欲しい、趣味で軽バンを使いたい方におすすめの軽バンはダイハツのアトレーです。
アトレーは全車ターボエンジン搭載のため、高速道路を利用する方にとってストレスの無い走りを実現しています。
軽バン用のCVT採用による力強い発進性能、長時間の運転も快適で疲れにくい静粛性も魅力。
仕事用にももちろん使えますが、趣味を楽しむための軽バンとして発売されているため、レジャーで荷物を載せてあちこち走るための車としてもおすすめです。
アクセサリーも多く用意されているので、カスタムして自分だけのアトレーを楽しんでください。


出典:ダイハツ工業株式会社
大きさや高さのある荷物を扱う方におすすめ軽バン
大きさや高さのある荷物を扱う方におすすめの軽バンはホンダのN-VANです。
ホンダ独自の技術である「センタータンクレイアウト」により燃料タンクが前方下に配置されているため、荷室床面地上高が525mmの低床設計を実現。
さらに、助手席側のセンターピラーをなくしたことにより助手席側に大きな開口部が生まれ、積み下ろしをスムーズにおこなえる仕様になっています。
低い荷室フロアと高い天井はN-VANにしかない魅力なので、大きさや高さのある荷物を扱う方に特におすすめです。


出典:本田技研工業株式会社
おすすめの軽バン記事 まとめ


今回は現在販売されている軽バン5車種(OEM車除く)を比較し、”仕事の内容と重視するポイント別”におすすめの車種をご紹介しました。
一見、どの軽バンも似たり寄ったりに見えますが、実際に比較すると車種ごとに異なる特徴があります。
各車種の特徴を知った上で、自分自身の使用用途にあった軽バンを見つけてみてください。
購入の際は、新車や中古車、未使用車など、さまざまな角度から探すのもおすすめです。
軽バンに関連する記事はこちらもご覧ください。
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